ドラゴンフルーツ
ドラゴンフルーツ(dragon fruit)、別名ピタヤ[1](英語: pitaya)は、サボテン科ヒモサボテン属のサンカクサボテン等の果実を指す。メキシコまたは中南米の熱帯雨林原産。赤い果実が目立つ。よく似たサボテンとしてクジャクサボテンや月下美人があるが、これらはサボテン科クジャクサボテン属である。クジャクサボテン属とヒモサボテン属は近縁種であるため、全体の外観や花や果実が似ている。
名称
スペイン語では pitahaya と表記するが、スペイン語の発音では「h」の文字は発音せず、「y」がヤ行とジャ行の中間の摩擦音になる(ジェイスモ)ため、「ピタジャ」または「ピタヤ」と聞こえる。また中米の多くの栽培現場では「ピタジャ」、「ピタージャ」と聞こえる発音をされるが、元来の「ピタハヤ」と発音し、「pitajaya」(スペイン語では「j」はハ行に近い発音をする)と表記する地区もある。日本ではピタヤ、またはピターヤとも読書きされる。

中国語名は「火竜果」(繁体字: 火龍果、簡体字: 火龙果、拼音: huǒlóngguǒ)。日本では果皮が黄色いものを区別してピタヤ(イエローピタヤ)と呼んでいる場合もあるが、ピタヤは本来サンカクサボテン類の果実の総称であり、ベトナムから日本へ入り始めたころは赤いものもピタヤと呼んでいた。ドラゴンフルーツという呼び方は、ベトナムから輸出する際に中国語から直訳的に英語にした販売用の商品名であったが、現在は果実・果樹としてもこちらの商品名の方が一般的に広まっている。

果実の特徴アボガド程度からそれ以上の大きさと形をしており、表面にサボテン科果実特有の葉のような緑色の突起物がある。果皮は光沢のある鮮やかな赤色が一般的だが、黄色のものもある[1]。
果肉
果肉は白色のゼリー状が一般的で、ほかに黄色・赤色・紫色・桃色などもあり[1]、それぞれホワイトピタヤ、イエローピタヤ、レッドピタヤなど色を付けて呼ばれている。豊富な果汁を含んでおり、一面に胡麻粒のような黒い種子がある[1]。この種子は取り除かずに果肉ごと食べられるため、キウイフルーツと同じような食感がある。

利用
食用
果実のなかにある黒い種子が多数入った白い果肉を食べる[1]。日本では「果実」だけを食するのが普通であるが、原産国では食用サボテンとして「花(蕾)」も「葉肉」も食べられており、捨てるところのない植物として重宝されている。[1]。


ホワイトピタヤはほのかな甘味と酸味を持ち、レッドピタヤはホワイトピタヤより甘くほのかな酸味を持つ[1]。イエローピタヤは、ホワイトピタヤやレッドピタヤよりも甘くさっぱりとしていて酸味はない。ピンクピタヤは濃厚な甘味を持ち、一般に出回っているピタヤの中では最も甘い[注 1]。ゴールデンドラゴンはホワイトピタヤよりも更に薄味と評されており、ミニドラゴンはホワイトピタヤに近い味とされる。果皮も生では固いが、火を通すと軟らかくなり、茹でたり炒めて野菜として食べることもできる。

栄養素
アルブミン、アントシアン、ブドウ糖、リン酸、ポリフェノール、食物繊維、カロチン、カルシウム、鉄、ビタミンB1・B2、ナイアシン、ビタミンCなどが含まれており、健康食品として注目されている。赤肉種に含まれる色素は天然色素として染料や口紅などに使われ、衣服などに付着すると落ちにくいので注意が必要である。

染色
レッドピタヤの赤紫色の色素はベタレインであり果皮は染色への利用が研究されている[2]。

接ぎ木
日本では果実・果樹よりも、ヒボタンなど他のサボテンを接ぎ木する台木としての利用普及が先行した。

生産地
主な産地

たわわに実ったドラゴンフルーツ
メキシコ、エクアドルなどの中南米、ベトナム、マレーシア、カンボジアなどの東南アジア、台湾、中国南部とイスラエルなどで主に栽培されている。近年はオーストラリア、スペイン、アメリカ合衆国南部、日本などでも栽培されている。

日本での流通
日本では一般的に味が薄い(もしくは無い)と誤解されているピタヤだが、日本で流通しているもののほとんどは輸入品であり、これらは日持ちさせるために未熟果の段階で収穫され、収穫後のピタヤはほとんど追熟して糖度を増さない果物なので、その結果として味が薄いという感想を抱くことになる。また、東南アジアでは最も流通量が多くほとんどの人が目にするのは白肉種であり、品種改良されていない原種に近いものであったり、未熟なためか果物というより野菜といった風味の場合がある