メタセコイア


タセコイア(学名: Metasequoia glyptostroboides)は、ヒノキ科(またはスギ科)メタセコイア属の落葉樹。1属1種。和名はアケボノスギ(曙杉)、イチイヒノキ。和名のアケボノスギは、英名 dawn redwood を訳したもので、dawn は曙や夜明けの意味である。公園や並木などに植えられる。
イチョウとともに化石植物といわれる遺存種で、当初は日本を含む北半球で化石として発見されるのみで、絶滅した植物と考えられていたが、20世紀半ばに中国南西部で自生していることが確認された。
形態・生態
落葉樹で、樹高は生長すると高さ25 - 30メートル (m) 、直径1.5 mになり、大きなものでは樹高50 m以上になる。樹皮は赤褐色で、縦に裂けて剥がれる。一年枝は褐色で無毛。
葉は羽状に対生し、モミやネズに似て線のように細長く、長さは1 - 2センチメートル (cm) 程度、幅は1 - 2 ミリメートル (mm) 程度である。新葉は明るい緑色で、秋に黄褐色に紅葉した後、落葉する。
花期は2 - 3月。雌雄同株で、雄花は総状花序、あるいは円錐花序となって枝から垂れ下がる雌雄同株で。雌花穂は枝先に1個つく。

果期は10 - 12月。果実は球果で、結実は多く、秋から冬にかけて褐色に熟して多数の種が地表に落ちる。

冬芽は枝先に頂芽(雌花の葉芽)がつき、側芽(葉芽)が対生する。雄花の冬芽は長い穂につき、垂れ下がる。冬芽は卵形で芽鱗は4裂に並び、上から見ると四角い[5]。冬芽のつけ根の枝には、白色で円い落枝痕がある。

気候条件によって生長速度に違いが見られ、温暖な南部の地域になるほど生長速度は速い傾向にある。早ければ発芽から5年で樹高5 mにもなるが、大きくなると生長速度は落ちて、樹齢200年から300年で樹高50 mに達するとみられている。生命力が強く、病気にかかりにくく、太い枝が切れても自ら傷口を数年で塞ぐ修復力をもつことが知られている。

分布
メタセコイアの化石は日本各地の新生代第三紀層に見られ、カナダ北部・シベリア・グリーンランドなど北半球の北極周辺に広く分布していた。1939年に日本の関西地方の第三紀層で、常緑種のセコイアに似た落葉種の植物遺体(化石の1種)が発見された。発見者の三木茂により、セコイアに「のちの、変わった」という意味の接頭語である「メタ」をつけて「メタセコイア」と命名され、1941年に学会へ発表された。それまで発見されていたヌマスギやセコイアと異なると考え、メタセコイア属を設けた。また、落葉樹であることも推定した。
日本では2016年1月に福島県広野町の中生代白亜紀の地層から発見された化石が国内最古のメタセコイアの化石とされている。

現生種の発見
当初、「化石」として発見されたために絶滅した種とされていたが、1946年に南京大学の鄭万鈞から北京の静生生物研究所の胡先驌のもとに送られた植物標本が三木論文にあるメタセコイアであることが判明した。これは中国四川省磨刀渓村(現在は湖北省利川市)の「水杉(スイサン)」と呼ばれたもので、「生きている化石」と呼ばれることも多い。

このあと湖北省で新たに自生しているものが見つかり、1948年にアメリカのチェイニー(Ralph W. Chaney)が、湖北省から苗を持ち帰り育成。その一部が1950年に三木が結成したメタセコイア保存会に送られ、保存。.