カタクリ

カタクリ(片栗、学名:Erythronium japonicum Decne.)は、ユリ科カタクリ属に属する多年草。別名で、カタコともよばれる。古語では「堅香子(かたかご)」と呼ばれていた。
山地の林内に群生し、1 - 2枚つく葉にはまだら模様がある。春先に独特で見栄えする紅紫の花を咲かせたあと、地上部は枯れる。種子で繁殖するが、発芽から開花まで8 - 9年ほどかかる。かつて、球根から片栗粉が作られてていた。

雪解け後に落葉樹林の林床で真っ先にカタクリやニリンソウなどが葉と茎を伸ばし花を咲かせる。その後枯れて地上部の姿が消える。
地下茎は意外と深く、鱗茎の姿がクリの片割れに似ることから、「片栗」の意味で名づけられたといわれている。

早春に10 - 15 cm程の花茎を伸ばし、直径4 - 5 cmほどの薄紫から桃色の花を先端に一つ下向きに咲かせる。まれに白花を咲かすものがあり、シロバナカタクリとよばれる。蕾をもった個体は芽が地上に出てから10日程で開花する[6]。花茎の下部に葉が通常2枚、若い株では1枚の葉がつき、幅2.5 - 6.5 cm程の長楕円形の葉には暗紫色の模様がある。地域によっては模様がないものもある。

開花時期は4 - 6月で、花被片と雄しべは6個。雄蕊は長短3本ずつあり、葯は暗紫色。長い雄蕊の葯は短いものより外側にあり、先に成熟して裂開する。雌蕊の花柱はわずかに3裂している。地上に葉を展開すると同時に開花する。晴天時は花に朝日を浴びると、花被片が開き背面で交差するほど極端に反り返り、夕暮れに閉じる運動を繰り返す。日差しがない曇りや雨の日には、花は開かないまま閉じている。開花後は3室からなる果実が出来、各室には数個 - 20程の胚珠が出来る。平均で60%程の胚珠が種子となる。胚珠は長さ2 mmほどの長楕円形である。染色体は大型で2n=24である。

早春に地上部に展開し、5 - 6月ごろに結実して、その後葉や茎は枯れて宿根する。地上に姿を現す期間は4 - 5週間程度で、群落での開花期間は2週間程と短い。このため、ニリンソウなど同様の植物とともに「スプリング・エフェメラル」(春の妖精)と呼ばれている。種子にはアリが好む薄黄色のエライオソームという物質が付いており、アリに拾われることによって生育地を広げている(同様の例はスミレなどにも見られる)。

雌丘山
兵庫県丹波市氷上町清住
岐阜県可児市