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恐山
恐山は、カルデラ湖である宇曽利湖(うそりこ)を中心とした外輪山の総称である。古くは宇曽利山(うそりやま)と呼ばれたが、下北訛りにより変化し、恐山「おそれやま/おそれざん」と呼ばれるようになった。 「うそり」とはアイヌ語の「うしょろ/窪地」であり、これは恐山山系のカルデラを意味する。外輪山は釜臥山、大尽山、小尽山、北国山、屏風山、剣の山、地蔵山、鶏頭山の八峰。「恐山」という名称の単独峰はない。火山岩に覆われた「地獄」と呼ばれる風景と、美しい宇曽利湖の「極楽浜」との対比が特徴である。
以下は2015年5月15日現地へ行き撮影した。

恐山には史料に残された噴火記録はなく、地質調査の結果からも、最後の噴火は1万年以上前と見られている。しかし、カルデラ内の一部には水蒸気や火山性ガスの噴出が盛んで、気象庁が2007年12月1日より開始した「噴火災害軽減のための噴火警報及び噴火予報」の対象になっている。ただし、噴火警戒レベルを導入した43火山には含まれていない(2019年5月7日現在)[
恐山の「地獄」付近には火山性ガス(亜硫酸ガス)が充満していて、特有の硫黄臭が鼻を突く。むつ市の市街地でも、北西風のときは恐山の火山ガスによる硫黄臭を感じる時がある。
恐山を参拝した際、頭痛、倦怠感を発症する者がいるが、これは霊的な現象ではなく、有毒ガスによる軽い中毒症状である。体力的に弱い高齢者や、身長が低く有毒ガスを吸い込みやすい幼児は注意が必要である。
恐山霊場には、鳥がほとんどおらず、草木も生えず、賽銭がひどく腐食しているとされているが、これは心霊現象ではなく、すべて火山ガスの影響である。また、川や湖の水が異常に透明であるのも、水に火山ガスが溶け込み、酸性値が高いため、生物の生育に適していないからである。
霊場内には多数の積み石が見られ、独特の景観を形づくっているが、これは地面から噴出する有毒な火山ガスを空気と効率よくなじませる意味合いも持っている。また風車も数多く置かれているが、これにも火山ガスの風下に入らないための工夫の意味合いがある。ちなみに線香、ろうそく、タバコ等は、火山ガスに着火する危険性があるため、所定の場所以外で使用してはならない。

温泉の沈殿物として金の異常濃集体が発見されており、2007年、日本の地質百選に選定された(恐山の金鉱床)。地質調査によると、その金の含有量は鉱石1トン当たり平均約400グラム、場所によっては6500グラムにも達し、世界でも最高の品質を誇る金の鉱脈である。ただし、恐山一帯を国定公園に指定した後に金鉱脈を発見したので、新規の開発は法律で禁止されていた。また、土壌には高濃度の砒素と硫化水素が含まれており、ここの地面を掘れば作業者の生命に危険が及ぶ。恐山近辺では砂金が取れるため、恐山霊場内でお土産として販売している。
宇曽利山湖の湖畔にある恐山菩提寺は日本三大霊場の一つであり、9世紀頃に天台宗の慈覚大師円仁が開基した。本尊は延命地蔵尊。同寺は現在は曹洞宗の寺院であり、本坊はむつ市田名部にある円通寺である。恐山は死者の集まる山とされ、7月の恐山大祭では、恐山菩提寺の境内でイタコの口寄せも行われる。


 

 

 恐山菩提寺の正門

 恐山の宿坊

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   
   
恐山に行く途中の冷水