青木ケ原樹海

青木ヶ原(あおきがはら)は、山梨県富士河口湖町・鳴沢村にまたがって広がる森で、富士山の北西に位置する。
青木ヶ原樹海、あるいは富士の樹海とも呼ばれ、山頂から眺めると木々が風になびく様子が海原でうねる波のように見えることから「樹海」と名付けられたという説もある。樹海の歴史は約1200年とまだ浅く、若い森である。
富士箱根伊豆国立公園に属し、富士山原始林及び青木ヶ原樹海という名称で、国の天然記念物に指定[1]されている。このほか国立公園の特別保護地区に指定[2]されており、世界文化遺産「富士山-信仰の対象と芸術の源泉」の富士山域に含まれる。
富士山麓の北西、標高920 - 1300メートル付近に広がる。面積はおよそ30平方キロメートルである。貞観6年(864年)に、富士山の北西山麓で大規模な噴火活動(貞観大噴火)が発生した。流れ出た膨大な量の溶岩は大室山を迂回して流れ、森林地帯を焼き払った末に、北麓にあった広大な湖・剗の海に達し、大半を埋没させた。やがて溶岩地帯には、1200年の時を経てツガやヒノキを中心にハリモミ、ヒメコマツ、アカマツなどの針葉樹やミズナラなどの広葉樹の混合林である原始林が形成された。植物の垂直分布では落葉広葉樹が発達する山地帯にあたるが、水分や養分の少ない溶岩質の土壌であることから針葉樹が発達している。人為的攪乱の加わっていない原生林であると考えられているが、伐採が行われていた可能性が指摘され、石塁も発見されている。周辺には溶岩洞が数多くあり、富岳風穴、鳴沢氷穴、西湖蝙蝠穴はその大きなもので公開されている。
溶岩流の端には西湖、精進湖、本栖湖がある。864年の噴火以前には現在の青木ヶ原の地に剗の海(せのうみ)という大きな湖があったが、溶岩流でその大部分が埋め立てられた末に西湖と精進湖とが残った。このいきさつは日本三代実録に記されている(→剗の海および富士山の噴火史#略年表を参照)。また紀元前4,000年紀に起きた噴火以前には、剗の海と本栖湖とを隔てる溶岩塊も存在せず、両者はひとつの大きな湖であったとされる。
樹海の中には国道139号などが通っている。樹海そばにある三湖台を登ると、頂上からは樹海が見渡せる。

富士山の噴火と富士五湖の歴史は次のとおりです。(富士川口湖町作成西湖コウモリ穴
自然学習パフレットより)
 富士山と富士五湖の歴史を遡ってみると今の姿からは想像もできないほどの激しい噴火活動を繰り返していた時代があります。富士山の噴火については、地元の古文書をはじめとする様々な文献で当時の様子が細かく記され、噴火による溶岩流で富士北麓の地形も大きく変化し、多くの人が住む場所を失ったと伝えています。富士五湖は今では5つの美しい湖を形成していますが、これらは、富士山の長い年月をかけた噴火活動によって現在の5つの湖になりました。富士五湖はもともと、東に「宇津湖(うつご)」西に「セの海」と2つの存在していました。富士山噴火の歴史の中で、西暦800年の大噴火で、富士山全体がして東からの溶岩流が宇津湖を分裂し、「山中湖」と「忍野湖(おしのご)」に分かれました。忍野湖は、後に
水がなくなり忍野平野(おしのへいや)となりました。現在では湧水口が地表に現れ、富士山の伏流水を多量に噴き出し忍野八海(おしのはっかい)といわれています。同じときの噴火で、西に流れ出した溶岩でセの海を分裂し「本栖湖」ができ、そしてこのとき「河口湖」もできました。さらに864年の噴火でセの海を西湖と精進湖にわけました。もともと「セの海」だった3つの湖(西湖・精進湖・本栖湖)は現在の水面の標高は同じで、これは湖お水脈が地下で通じていると考えられています。

青木ケ原樹海について


 足もとの遊歩道一帯では、864年に富士山の北西山腹で火山噴火がありました。(精進湖登山道一合目にあたる長尾山(標高1424m)とその周りにある火口群での噴火)そのときに流出した溶岩流とスコリア質(多孔質又は軽石状)溶岩流をその場所の地名を付けて「青木ヶ原溶岩流と呼んでいます。また、この上に広がる原始林を「青木ヶ原樹海」と呼んでいます。原始林は原生林とも呼ばれ、自然に生えて育っている林のことです。
ガイドの説明によれば土はないので根は地中に行かず表面に互いに絡み合っているとのことです。ここの原始林の樹齢は330~360年ほどで、木の種類はツガ、ヒノキが最も多く、これにヒメマツ・ウラジロモミ・アカマツ・トウヒ・トウヒ・ミズナラ、そのほかにカエデやサクラなども混ざっています。ガイドの説明によればアカマツが太陽ををさえぎるためまつぼっくりがあっても育たずやがてツガの林になっていくとのことです。いつも葉が緑の針葉樹が多く年じゅう美しい緑の木で、海のように見えることから樹海と名付けられた貴重な区域です。なお、樹海の溶岩には磁鉄鉱が多いため、磁石が効かない磁性溶岩帯になっています。そのため、遊歩道から外れて歩くことは危険です。

    下の図はクリックすればおおきくなります