神戸ハーバーランド


20230730
神戸ハーバーランド(こうべハーバーランド)は、兵庫県神戸市中央区にある再開発地区。地元を中心に、単にハーバーランド (Harborland)と表記・呼称される事もある。
1982年(昭和57年)11月に貨物駅としての営業を終了した旧国鉄の湊川貨物駅[1]や、川崎製鉄(現在のJFEホールディングス)・川崎重工業といった沿岸一帯の工場の跡地約23ha(ヘクタール)[1]を1985年(昭和60年)、再開発に着手し、1992年(平成4年)9月に街開きした市街地である。
東端は大阪湾に面し、従来工場や倉庫など港湾施設で占拠されていて一般市民が近づけなかった臨海部を市民に開放する狙いを持ったウォーターフロントが開発された[1]。
当時、政府が奨励していた民間活力導入の方針に沿って神戸市が購入した土地で民間企業が事業を展開する方式で開発が進められ[1]、総事業費は神戸市と民間企業合せて3000億円以上に上った[3]。
1981年(昭和56年)に竣工されたポートアイランドと並ぶ臨海部の都心的な開発事例である[4]。
国内では当時としては先進的な方式であった事もあり、1993年(平成5年)度に日本都市計画学会から『石川賞』を受賞する[5]と共に国土交通省の『都市景観100選』にも選定された[6]。
対岸の中突堤と共に神戸の玄関口の一つとして、神戸港・高浜旅客ターミナルが設けられている[7]。また、ターミナルの南側には造船業大手の川崎造船と三菱重工業の各造船所がある。
鉄道の便は、地下街のデュオこうべが当地を起点に北(山側)に向かって延び、山陽本線(JR神戸線)の神戸駅・神戸市営地下鉄海岸線ハーバーランド駅・神戸高速鉄道東西線高速神戸駅など複数路線の駅が利用できる[8]。


ハーバーランドと対岸のメリケンパーク
対岸のメリケンパーク側に神戸ポートタワーや神戸海洋博物館といった観光施設が揃うのに対し、ハーバーランド側には神戸モザイクなどの複合商業施設が林立し、顧客の獲得競争が日々繰り広げられている。これらは主にハーバーランド全体の東側に集中しており、住宅街は当初は西側が中心となっていた(神戸市内の他の郊外型ニュータウンと同様の構成)。
街開きした1992年に神戸西武や神戸阪急の百貨店2店と大手百貨店髙島屋が大阪ガスと共同で開発・運営するファッションビルのオーガスタプラザ、地元神戸を創業の地とする大手スーパーダイエーや当時大手家電量販店の一つだった星電社、阪急百貨店などが共同で出資して開発したオープンエアの複合商業施設神戸モザイクなど、地元関西資本を中心とした大型店がほぼ一斉に開業して、一気に店舗総面積は約120,000m2の大規模な商業集積が誕生し[1]、横浜市のウォーターフロント開発地区である東のみなとみらい21と共に、西の「ハーバーランド」と呼ばれて注目を集めた[9]。
街全体で約5,000台の駐車場があるため、家族連れが車で来やすい関係で都心部としては子育て中の家族が多く、大きなブロックごとに整然と整備されているため、都心にありながら郊外的な雰囲気も持つ街となっている[1]。
神戸駅南口から望むハーバーランドのビル群
また、商業施設とオフィスや住宅などが混在する複合都市としての[10]新都心として開発した[11]ため、川崎重工業本社や兵庫県神戸ハーバーランド庁舎[12]などの入る神戸クリスタルタワーの他、プロメナ神戸(開業時はオーガスタプラザ)に併設された大阪ガスの神戸地区のオフィスなどが入る神戸ガスビル[13]、ホテルクラウンプラザ神戸(開業時はホテルニューオータニ神戸ハーバーランド)やファミリオ(開業時は神戸西武)に併設された神戸ハーバーランドセンタービル、Ha・Reやキャナルガーデンなどが併設された神戸ハーバーランドダイヤニッセイビル、神戸新聞社とその関連企業などの入居する神戸情報文化ビルなどのオフィスビルも数多くある。
兵庫県神戸ハーバーランド庁舎[12]や兵庫県立神戸生活創造センター[14]などの兵庫県の施設や、神戸市産業振興センター[15]や神戸市総合児童センター(こべっこランド)[16]などの神戸市の施設など公共施設も多数設置されている。
相次ぐ大型店の撤退や運営体制の変更
前述の様な欠点による集客力の不足から、1994年(平成6年)12月に神戸西武が業績不振を理由に早くも撤退し[1]、その店舗跡に1996年(平成8年)4月に神戸出身の南部靖幸が率いるパソナが神戸ハーバー・サーカスを開業したものの、やはり業績が低迷して2002年(平成14年)6月にオメガ・プロジェクトの経営参画を仰いだ[1]ものの同社の構想が具体化せず[24]、2003年(平成15年)8月17日にソフマップが近くのダイエーハーバーランド店5階に移転するため閉店する[25]などテナントの流出が続いた事から[24]、2004年(平成16年)3月末に経営不振で撤退[24]した。

そのため、当時ビルを所有していた住友生命保険がその店舗跡を約30億円かけて改装し[26]、商業施設のコンサルタント業者のジオ・アカマツの運営[26]で12月3日にビーズキスとして開業した[27]ものの、2007年(平成19年)11月25日に神戸スイーツハーバーが3年間の契約期限が来た事を理由に閉店し[28]、2008年(平成20年)1月にトイザらスも閉店する[29]など有力なテナントの撤退が相次いだため、同年3月にはテナント数が約30店まで減少した[30]。
そこで、新たに運営を受託した日本管財は従来失敗してきた若者向けから固定客らが見込める家族向けに改装する事とし[30]、2008年(平成20年)4月25日に、地下1階に飲食店が集まるだけでなく絵本コーナーや遊具などを備えた北欧デザインのテーブルやイスが並ぶ462席のユニークなフードコートプレイを開業させ[31]、全体の店名をファミリオに変更して新装開店させた[31]が、2011年(平成23年)1月31日にファミリオの衣料品などのテナント14店が一斉に閉店して大半のテナントが撤退したため、1階と地下1階の飲食店やコンビニなどの4店舗のみとなって、他のフロアは閉鎖される事になった[32]。
その他にも、2000年(平成12年)7月に星電社が撤退し、同年12月に跡地をコムサストアとして開業し[1]、オーガスタプラザも業績の低迷が続いていた[1]ため、ビルを保有していた大阪ガスがモルガン・スタンレーグループに売却して2002年(平成14年)6月7日に所有権が移転し、同時にその運営権も高島屋と大阪ガスの合弁会社からモルガン・スタンレー側に移行したため、同年9月末の賃貸契約期間満了と共に高島屋が出店していたテナントも閉店して、同時に運営会社オーガスタも解散する[33]など、業績が低迷して撤退や営業主体が変わる大型店が相次いだ。
また、神戸西武や神戸阪急といった百貨店やダイエー以外の商業施設は専門店のテナントを集めた専門店ビルの形式のため、店舗の入れ替わりも多く生じている[10]。
2005年(平成17年)11月30日にダイエーが撤退した[34]事により、開業当初から当地区で営業し続けている大型商業施設は神戸阪急とそのグループ企業が運営する神戸モザイクのみになるなど、周辺店舗が入れ替わって、店舗周辺の客層が大きく変化していった[20]。
神戸阪急
街開きした当時から残る最後の大型店であった神戸阪急は、周囲の施設のテナントの変化などによる客層の環境変化に対応しようとして2004年(平成16年)にベビー用品のアカチャンホンポを誘致したり[20]、ダイエーの撤退を受けて2006年(平成18年)3月のグループのスーパーマーケットの阪急オアシスの導入[35]や2006年3月期に子供関連売場のエンターテインメント性強化[36]などてこ入れを行ったが[20]、阪神・淡路大震災前後の1995年3月期と1996年(平成8年)3月期の2年間だけは黒字となり[37]、同年3月期には売上高約259億円を上げた[38]ものの、他の18年間は赤字が続いていた[37]。
こうした業績低迷の慢性化もあり、神戸阪急は百貨店業態での営業継続は困難[38]として、2012年(平成24年)9月末の賃借契約が切れる前の同年3月11日に閉店した[37]。
神戸阪急の閉店に伴い、エイチ・ツー・オー リテイリングは神戸阪急に隣接して営業している神戸モザイクの運営会社タクトの株式40%すべてを大家である三菱倉庫に譲渡して経営権も移行し、当地区から完全に撤退した[39]。このエイチ・ツー・オー リテイリングの撤退により、当地区の主要な商業施設はすべて経営母体が開業時と異なる事になった。

現在の主要な商業施設は、オーガスタプラザの跡で営業するプロメナ神戸、ダイエーの跡で営業するumie、街開きした当時からほぼ同形態で存続してきた神戸モザイクとなっている。



当該地の地図


神戸ハーバーランドの夜景

神戸ハーバーランドの夜景

2022年7月30日19:30撮影



2023年7月30日ハーバーランドに行きました。そして夜景をとりました。

神戸新聞社前の
キリンノオブジェ

神戸ハーバーランドのマップ

ポートタワー(工事中)